藤井経営の藤井武です。
今回は医療費のお話です。
昨年9月に2015年度医療費の動向について発表があり、総額約41.5兆円ほどとのことです。前年度から、約1.5兆円の増加となってり、2010年度以来5年ぶりに、伸び率が3%を上回ったことで、非常にインパクトのある内容でした。
医療費の構成比をみると、入院が16.4兆円(39.5%)、入院外(外来)が14.2兆円(34.3%)、調剤が7.9兆円(19.0%)、歯科が2.8兆円(6.8%)となっています。
また、前年度からの伸び率では、調剤が9.4%で、他の分野と比べても(入院1.9%、入院外3.3%)非常に大きなものでした。調剤の伸びの一因としては、C型肝炎等の治療薬である抗ウィルス薬等の薬剤料の増加による、と言われています。
最新薬剤の話題と言うと、がん免疫治療薬の“オプジーボ”がありました。当初、対象となる範囲が非常に狭く、そのため超高額薬剤だったのですが、対象範囲の拡大に伴い、医療保険財政への影響が極めて大きいことから、緊急的に対応を講ずる、とのことから、本来の診療(薬価)報酬改定時期の2018年4月を待たずに、2017年2月1日に50%引き下げることとなりました。
今まで“不治の病”と言われていた病気が、製薬メーカーの研究開発や医療技術の革新により、完治が見込める時代になっています。莫大な研究資金を投下する企業としては、営利を目的とするのは当然なわけで、投下資金の回収を目指します。利益追求が果たせなくなれば、企業の試験研究意欲をそぐことになるでしょう。
このような技術革新があってこその、不覚のうちに忍び寄る病魔から日々の生活を守ることができています。
医療費について先月5月末、3日間にわたり日経新聞の朝刊の1面で取り上げられていました。医療行政から尾辻議員、医療現場から日本医師会横倉会長、製薬メーカーから大日本住友製薬多田社長、それぞれの立場からご見識をお話ししていました。
医療費の“給付と負担”の問題は、これ以上先延ばしにはできない、国民生活を最も左右する問題であると思います。
命を守るためにどの程度の負担をするのか、給付はここまでよいので負担もここまでにする、など医療費には限度があることを前提にし、今まで以上の自己責任を覚悟した国民全員の意識改革をしない限り、日本の医療制度である国民皆保険制度の維持は、相当難しいことだと思います。