こんにちは、総務の藤井です。
こちらはしいたけの原木栽培をする際に使用する「ほだ木」用の水槽です。
使われなくなって久しいためだいぶ傷んでいますが、実家に帰省した際に近所で撮影しました。
しいたけの原木栽培はその名の通りナラやクヌギなどの原木を切り出し、穴をあけてしいたけの菌(種駒)を植え付けて栽培する方法です。
その菌を植え付ける原木を「ほだ木(ほだき)」と言います。
我が家は作っていませんでしたが近所には何件かきのこ農家があり、しいたけやなめこなどを栽培していました。
そしてしいたけの原木栽培をしている家には必ずこのほだ木用の水槽がありました。
水をたくさん必要とする大きな水槽なので、多くの家が井戸水をくみ上げて使用していて水道代がかからなかったため、夏になると時々子供たちの水遊び用に水を張ってくれる家もありました。
私も小さいころ何度か幼馴染の家でこの「ほだ木プール」を楽しませてもらったことがあります。
そんな思い出深いほだ木用の水槽ですが、実家周辺は東日本大震災の福島原発事故からずっと原木しいたけの出荷自粛が続き、近隣のしいたけ農家はすべて栽培をやめてしまいました。
原発からの距離はありましたが、事故当時の風向きのために群馬や栃木、茨城などの山間部は放射性物質の影響を受けました。
そのため現在でも地元の山で取れたきのこも山菜も出荷することができません。
地元産でない原木を仕入れ、ハウス内で栽培するという方法に変更したり、菌床栽培に変更したりして転換を図る農家もありますが、私の実家周辺では、高齢で、零細で、新たな資金を用意できなくて、といった理由で事業をやめるという選択をした農家が多かったようです。
12年経っても消えない爪あと。
二度と起こってほしくないですね。