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長時間労働は悪なのか?
2017.05.17
カテゴリ : 人事・労務

上毛労務 薗田直子です。

長時間労働大バッシングの潮流ですが、日本を飛躍的に成長させ国際的に強くしたのは、昼夜脇目もふらず働いた先人たちの賜です。かつて日本の目覚ましい躍進を『長時間労働によるダンピングだ!不公正競争だ!』と国際的に叩かれた結果、現在の週40時間制の導入に至った歴史があります。

一定の時間を超えて働くと、スピードが落ちミスも発生しやすく、時間当りの生産性は落ちます。「量」の勝負なら、生産性は落ちても労働時間を引き延ばし「量」を稼ぐしかありません。
「目の前に仕事があるから断るわけにはいかない!」まじめで勤勉な日本人はこうして長時間働いてきました、というより長時間稼働しないと競争に不利な土壌だったのです。

長時間労働が慢性化した会社で、事情により取引先の一つを失いました。結構なダメージだったようですが、蓋を開けてみると売上減でしたが、利益は変わらなかったそうです。一概には言えませんが時間外でかなりの割増賃金が発生し、割のいい仕事ではなかったということです。
ブラックバイトで一昨年叩かれた「すき屋」は、パートの労働時間や客の入りを見極め店長判断の「随時の夜間営業」を行った結果、昨年は過去最高益に達しました。

時間外労働に上限を設ける罰則付き労働基準法改正は、平成31年4月の施行を目標に着々と審議が進められています。罰則というムチをつけるのは、ぬけがけの長時間労働による不公正競争を防ぐためでもあります。
取引慣行を含めた業界ごとの環境整備(下請法の改正、下請けGメンの配置等)の施策も働き方改革に含まれています。

施行まであと2年。長く粘って点を取る「量」の勝負から、限られた時間内で点をとる『成果』の勝負へモノサシが変わります。これは時間をめぐる戦いでもあります。
日本のビジネスのあり方、マネジメントの仕方を抜本的に組み替えていこうよ、というのが働き方改革で政府の狙う処、長時間労働の抑制はルールを整えるための大きな一歩なのです。

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