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2017.09.13
カテゴリ : 人事・労務

上毛労務 薗田直子です。

日本の公立の小中高等学校の教員の労働時間は、OECDの加盟国の中で最も長い水準だったという。一方で、労働時間のうち「授業」に費やす時間は平均値以下だったという結果がでた。
授業以外の、教育相談、職員会議、課外活動等に費やす時間が長いのであろう、というのが専門家の考えだ。

これを、「授業」というアウトプットのため、その前段となる下ごしらえ部分に時間を費やしている、と読み解くのか、前段部分や付帯業務に時間を費やし「授業」に回す時間が少なくなっていると読み解くのか・・・
教師の本来の役割や求められる価値はどこで計られるのか、という問いにもつながる。

教師だけではない。
日々、複雑化高度化してく社会では、リスクヘッジや結果を出すための準備に費やす工程が大きくなる。なくてはならない大事な過程だ。
これらの業務が市場から顧客から求められている本来の価値ある業務に、どれだけ反映されているのだろう。
リスクヘッジや前工程ばかりに時間を費やし、本来の価値を高めることを疎かにしていないだろうか。

私たちの求められている価値は何なのか。
しっかり踏みしめて進んでいきたいものだ。

2017.09.06
カテゴリ : 人事・労務

上毛労務 薗田直子です。

コールセンターや役所などに電話をかけると、何度も番号+#を押したり、呼出音が延々と続いたり結構な割合で待たされる。あまりにも待たされると、窓口の担当者とつながった途端「フー、やれやれ」とおもってさえしまう。

目に見える行列は状況を把握し待つことを想定できるが、電話の向こう側は当然見えない。相手の忙しさや混雑具合はわからず、呼び出しの時間が長く感じる。その状況にイライラし、強く当たる人も多いのだろう。コールセンターのオペレーターは、ストレスの多い職種として常に上位に挙げられている。

韓国の石油会社のコールセンターで、メロディーでの呼出音や機械的な音声アナウンスに替え、そこで働くオペレーターの家族の声を録音し流すことにしたそうだ。

電話をかけるとオペレーターに繋がるまでに
「優しくて、働き者の娘がご案内します」という父親の声や
「世界で一番大好きなママが電話にでますから、ちょっとまっててくださいね」というお嬢ちゃんの声が流れる。

目に見えない電話越しのオペレーターも、誰かの娘であり、ママであり、一人の人間なんだ、ということを思いだして欲しいという取り組みだ。
実際、電話をかけた顧客から「ありがとう」「お疲れ様」という声を掛けられる回数がグッと増えたという。結果、オペレーターのストレスも半減し仕事への意欲が増したそうだ。

仕事の上では、その人本来の感情や考えを抑えて、求められる役割や任務を演じる場面も多い。自身の裁量が少ないオペレーター業務ではなおさらだ。定型的に決められたことを互い淡々と行う業務は、やがてAIにも代替される日もくるだろう。
あたりまえだが「人として」相手を気遣い接すること。それだけで生まれる温かさがある。

2017.08.09
カテゴリ : 人事・労務

上毛労務 薗田直子です。

今回の安倍改造内閣の目玉でもある「人づくり革命」(突っ込みの嵐ですが・・)を推進する中核機関として『人生百年構想会議』が立ち上がりました。

昨年ベストセラーになった『ライフシフト』では、2007年に生まれた子供の50%以上は100歳以上まで生きると試算されています。いよいよ、国も『人生100年時代』を本格的に見据え、正解のない道筋への政策を検討する体制になってきたということです。

100年・・・長いですね。
今では当たり前のスマートフォンはほんの10数年前に誕生したものですし、遥か昔のことのように語られる痛ましい戦争から、まだ70数年なのです。テクノロジーの進化によりかつてないほど変化の激しい100年になることを私たちは肌で感じています。そう考えると、この先の100年がどのように変化するのかは計り知れません。

小説家の島田雅彦氏は、「100年なんて長い期間にはどんなことが起こるかわからない。そんな中で『好奇心』『教育』『遊び心』が生き残っていく上で有利に働く」と言っています。一見ムダなように見える「余剰」の部分をいかに持っているかで、変化に対応する力も変わってくる、というのが島田氏の考えです。

効率や短期間で結果を気にするあまり、わき目もふらずに駆け、周りの景色さえ目を留めていなかったことにふと気づくことがあります。周りの景色を楽しみ、気になるものがあったら立ち止って近づくことで、自分の知見が広がり、会いたい人、行きたい処が増えていく・・・
結果を求めた行動ではないけれど、いろいろな物事に関心をもち、多様な考えに触れることが人生の幅になり、幅を持つことが変化に対応する容量を増やしていくのだと思います。

国の「人づくり革命」の主旨は『チャレンジしたいと思う人が、人生を通じて、学び挑戦できる機会をつくっていこう』ということです。受け身ではなく、自らが「チャレンジしたい」と思える気持ち。これも「好奇心」や「遊び心」でより広がりますよね。

何よりも変化に対する不安や閉塞感ではなくではなく、「好奇心」や「遊び心」をもってわくわくと楽しい気持ちでいたほうが、長い人生これに越したことはありません。
昨日の吉田ブログに通じるところがありますが、「楽しい」気持ち、持ち続けていきたいものです。

2017.07.31
カテゴリ : 人事・労務

おはようございます。

上毛労務 岩野です。

 

厚生労働省の中央最低賃金審議会は25日、2017年の最低賃金の目安を

を、現在の全国平均823円から25円引き上げ、848円にすると決めまし

た。

 

最低賃金とは、最低賃金法に基づき、国が賃金の最低限度を決め、各都道府県、

地域別最低賃金が年ごとに定められ、事業所で働くすべての労働者に適用される

ものとなります。また、特定の産業(主に製造業)については地域別最低賃金

よりも高い最低賃金が設定されています。

 

今回の最低賃金の上げ幅は、過去最高の引き上げ額(昨年は加重平均で24円)

となり、今後、この目安額をもとに、各都道府県の審議会が地域別最低賃金の実

額を決めることとなり、10月を目途に適用されることなります。

 

地域別最低賃金の決定は、中央最低賃金審議会が経済実態に応じ、全国各都道府

県をABCDの4ランクに分け、引上げ額を参考に地方最低賃金審議会が決めるこ

とになっています。参考までに目安の通りに引き上げた場合の各地の最低賃金

は、群馬及び新潟をはじめとするBランクは25円、東京、埼玉、千葉などの

Aランクでは26円となります。

 

厚労省によると、16年に最低賃金を引き上げた結果、社員30人未満の事業所

(製造業は100人未満)では、労働者の約1割で引きあげる必要が出ているそ

うです。ということは、今の状況を維持させることだけ考えても、業績を上げな

ければならないことになります。

 

企業努力の正念場。生産性の向上、残業時間の削減、勤務の多様化、職員への教

育など、収益力を高めるため、様々な施策を考えなければなりません。

 

 

2017.07.26
カテゴリ : 人事・労務

上毛労務 薗田直子です。

先週お伝えした『残業代ゼロ法案』、成立に向け加速と思ったのも束の間、連合内のゴタゴタで二転三転、雲行きが怪しい状況です。国としては、秋の臨時国会で「時間外労働の上限規制」を含めた労働基準法改正を一気に通したい方向ですので、当分動向から目が離せません。

さて今回の労働基準法改正、中小企業に一番影響が大きいのは『年次有給休暇の取得の義務化』ではないでしょうか。年10日以上の年次有給休暇を保有する労働者に対し、年に5日以上取得させることを義務にする予定です。

現状、年次有給休暇の消化率は全労働者平均で5割に達していません。300人以下の中小企業の消化率は4割そこそこ。「ほぼ消化」する人が3割以上いる反面、「全く取得しない」人が1割を超える、二極化の状態となっています。実務を通じても「病欠や家の都合等で年に数日取得」という方が圧倒的に多いように感じます。本来年次有給休暇は、労働者にしっかり休養してもらい次の仕事への鋭気を養うことが目的です。あまり消化していない層に一定の年次有給休暇を強制的に消化してもらい、結果、長時間労働を抑制しようという狙いです。

「有給はとってもらいたい。でも、現場が回らないと困るよ!」

ただでさえ人材不足に悩んでいる中小企業にとって、先手を打って消化方法を検討しないと、てんでんバラバラ、業務に支障がでてくる事態になりかねません。

サッカーやバスケのパス回しと一緒で、いるべきポジションから一人が勝手に抜けると、ボールは行き先を見失ってしまいます。一人抜けても滞りなくパスを回すには、体制を整えた上で、お互いのポジションを確認し合いプレイすることが大切になります。

労働基準法の改正は、スポーツでいうとそのルール自体の変更です。ルールが変わった上で、どういった戦法をとるのか。フォーメンションやパス回しの方法(付与の方法、取得単位等)は、チームごとの作戦を練る必要があります。

2年越しの改正案、2019年4月の施行を目指しています。猶予期間は1年半、そろそろ作戦を考え始める時期でもあります。

 

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