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2017.07.19
カテゴリ : 人事・労務

上毛労務 薗田直子です。

先週から『残業代ゼロ法案』の文字がメディアに多く登場するようになりました。
労働基準法の大きな転機となる改正案、一体どういうものなのでしょうか。

そもそも現状の日本の法律は「時間」に対して賃金が支払われる制度です。他人の倍のスピードで仕事をしても、やることなく電話番だけしていても、それはそれで「会社の指揮命令下」にある『労働時間』として一律に取り扱われます。もちろん時給単価を決めるのは会社の自由。「時間」に対しての報酬なので、成果を出すため最適な指示や配置をするのは会社の役目としています。
戦後まもなく、工場等での一斉作業を前提に考えられた法律です。

時は平成に移り、昔は無かった仕事が世の中に誕生します。ゲームソフトのプログラミングやインテリアコーディネーター等、仕事の進め方や時間配分を「本人の裁量に委ねる業務」限定で、時間の制約を緩めた『裁量労働時間制』が可能になりました。出勤して1時間だけ勤務をしても、15時間勤務をしても、労働時間は同じ1日〇時間と「みなす」制度です。
通常の勤務は〇時間とみなしてカウントされ、休日、深夜の規定は従来通り、割増賃金支払いの義務が生じます。

そして今回の「残業代ゼロ法案」、正式には『高度プロフェショナル制度』
経済のグローバル化が進む中で、高度な専門知識や経験を必要とし、時間ではなく「成果」で評価される業務を対象に、労働時間、休憩、休日について、現行の労働基準法の制約を受けない=残業という概念がない(残業代ゼロ)の制度として考えられています。
具体的には、金融ディーラーや研究開発、コンサルティング等の業務を想定しています。

運用には、いくつかの要件があります
・労働者の書面での個別同意が必要
・年収1075万円以上(全労働者平均年収の3倍を上回ること)

そして、今回連合が出した要件は
・年間休日104日以上の義務化
・健康対策4つの選択肢からの企業選択により実施
これらを修正案に織り込み秋の臨時国会での審議予定となっています。

この法案、2年前に閣議決定されましたが、野党、連合の大大大反対で国会で審議されることなく見送られた過去があります。
年収1075万円以上は中小企業では滅多に該当しないと思いますが、前身となる「ホワイトカラーエグゼンプション」では年収900万以上で検討され、さらに経団連は年収700万円以上という案を掲げていました。一度決定された後、時代により年収要件引き下げの可能性も大いにあります。
「残業代ゼロ」ばかり注目されますが、今回の改正案には中小企業に大きく影響がでそうな事項がいくつか含まれています。次回は、その話をしたと思います

2017.07.17
カテゴリ : 人事・労務

おはようございます。

上毛労務 岩野です。

 

2013年4月に施行された改正労働契約法に基づき、2018年4月から

勤続年数5年を超える非正規社員、いわゆる契約期間のある社員は無期雇用を

申し入れができるようになります。

 

人手不足が深刻化し、人材確保が難しくなっている中、4月を待たずに各企業

独自のルールを策定し、契約社員やパート・アルバイトなどの非正規社員を、

無期雇用の契約に転換することを発表。無期雇用を認めることで有能な人材を

囲い込む動きが加速してきました。

 

日経新聞によると、コールセンター大手のベルシステム24は10月から、

約2万2千人の非正規社員を対象に5年よりも短い、6か月働いた人を

無期雇用に転換し、慢性的な人材不足に歯止めをかける。同様に日本生命

保険や高島屋でも自社独自の転換ルールを打ち出し、人材の定着につなげる

動きが相次いでいるとのこと。

 

非正規社員については、人件費や業務の調整弁として、景気変動などにあわせて

人員を増減させてきた企業も少なくない中、各企業が取り組む正社員化。

正社員化を促進することで人件費といった固定費が増え、企業の収益を圧迫する

可能性もでてくることもわかってのこと。

 

そのような背景からも、中小企業の人手不足はさらに加速するように感じて

います。企業を成長させるためには人材確保は必須となるため、生産性向上、

競争力の強化はもとより、今後は労働条件の見直しや福利厚生の充実なども

見直す必要があるように感じています。

 

人材不足から派生する各企業の抱える課題は多岐にわたります。

顧客の力になりたい。

 

いつも心に刻み、世の中の動向や他社の取り組みなどを発信し、これからも

顧客と向き合っていきたいと思います。

 

2017.07.12
カテゴリ : 人事・労務

上毛労務 薗田直子です。

最近、建設業のお客様から就業規作成の依頼が増えています。オリンピックを控え建設工事の増加とはうらはらに、人材不足に悩んでいるこの業界。なにかと労務関係の整備を迫られるケースも多くなっています。

現状をヒアリングすると、「休みは週1日」そして「日給制」の事業所がほとんと。それもそのはず、発注者からの工期が短く、請負金額は人工で計算されているので、下請けの会社もそれに準じざるを得ない状況です。

この「休みがとりずらい」「給与が不安定」なことが、若者に人気のない大きな要因にもなっています。新卒を送り出す高校側が、生徒に推薦する要件として「月給制、社会保険完備」を必須とするケースも多いようです。

この先、若者が参入してこないと建設業界全体の危機にもつながる!と、国土交通省は行政、発注者、業界団体と業界全体を巻き込んでの政策を打ち出しました。
・直轄の公共工事で週休2日を前提とする適切な工期の標準化
・大手ゼネコンを中心に、5年で土曜日の現場閉所で週休2日の定着目標
・正社員化、週休2日、月給制に取り組む企業の経営事項審査での評価

休みが増えるのは労働者には喜ばしいことですが、建設業の場合それだけでは終わりません。先にも述べた通り、日給制のため「休日の増加」=「給与の減少」に直結します。これは人工で請求している会社にとっても同じで、売り上げの減少につながります。
公共工事では、週休2日を実施する工事に間接工事費率を加算するといった対応も並行して導入するようです。ただ、これが民間の二次請け、三次請け企業まで普及するのは相当先のように思います。

5年前、建設業の社会保険加入の規制が始まった時、「そんなの無理だよ・・・」といった声が多くあがりました。ここにきて下請け作業員の社会保険未加入の現場からの排除、建設業許可更新時の社会保険加入の徹底など、国、大手ゼネコンと業界一丸となって取り組んだ結果、建設業にとって社会保険加入はもはや当たり前に変わってきました。

国の動きが明確になっている以上、中小企業も先を見え据えて動く必要もありそうです。何よりも優秀な人材の獲得にむけ、早めの着手は効果も増しそうです。月給へのシミュレーション、労働時間や休日の設計など、ご用命がございましたら是非お声掛けください。

2017.07.05
カテゴリ : 人事・労務

上毛労務 薗田直子です。

「イキイキと仕事に取組み、活性化している組織」・・・それってどんな状態なのか、手にとって見れるわけではないよね。
そう思っていた常識さえも覆し、可能にしたのが近頃のAI。
人や組織の「幸せ感」をセンサーで測り数値化し「見える化」しているのです。

名刺型のセンサーを首に掛け、体の動きやうなずきを毎秒50回測定し、人が充実感を感じたり、職場のムードが悪くなった時の反応を、大量に分析し続けたそうです。その結果、人の身体の動きと、人の感情とに関連性があり、幸福は「無意識の体の動きのパターン」に現れる、ということが明らかになっています。

研究を重ねるにつれ『組織の活気があるほど、従業員の一人一人の幸せ感が高く、業績にも反映する』ということも実証されました。

コールセンターの実験では、組織全体の幸せ感が高い日は、そうでない日と比べて受注率が34%違ったといいます。分析を深めると、幸せ感と最も相関関係が高かったのは、休憩時間の細やかな動き。つまり「休憩時間に会話が弾んでいた」ことが、幸せ感アップ、組織の活気につながり、業績アップにもつながったということです。
「勢いのある(業績が伸びている)会社は、みんな活き活きと働いている」が本当だと証明されたということですね。

さらに、センサーからのデータをもとに、人、時間帯、位置などを掛け合わせ
「今日は〇〇さんに声をかけましょう」
「上司の△△さんに報告するのは午前中がいいです」
「打ち合わせは立って5分以内で」等、
従業員一人一人の感情と動きに応じて、従業員の幸せ感のアップや組織の活性に効果的なアドバイスが配信される・・・そうです。

個人的には「そこまでAIに指示されるのはイヤだな」という想いが先立ちますが、実際には注文殺到だそうです。
ともあれ「従業員の幸せ」と「業績UP」は循環しているってことをAIが科学的に証明してくれたってこと。ゆるーくAIの教えをうけながら、楽しくイキイキと働ける職場環境づくりを私たちなりに支援していこうとおもいます。

2017.07.03
カテゴリ : 人事・労務

おはようございます。

上毛労務 岩野です。

 

本日より高校新卒求人の公開解禁となります。

働き方改革からの影響か、今年も売り手市場となりそうです。

 

現在、大卒新卒者に対しての面接を行っている企業も多いと思います。

昨年は、少し多めに内定者を出したにも関わらず、結局、募集人員の半分にも

満たない採用となってしまった・・・。ということも耳にしたくらい新卒採用に

ついては腐心している会社が多いと思います。

人材サービスのビズリーチ(東京・渋谷)が今年行った調査では、実に7割の

学生が親の意見を尊重すると回答しているという結果となった。つまり、就活で

学生が親の意見を尊重して進路を決める、あるいは就職先の決定に親が関わる、

という傾向が強まっているようです。

 

そのため、新卒内定者や内定前の学生の親や家族を集めて企業見学や説明会を

行っている企業も増えており、採用の売り手市場が続く中、企業が親をターゲッ

トにする傾向が強まっていることがうかがえます。説明会のなかで教育制度や残

業時間など、企業の取り組みを伝え、家族の不安を払拭することで、学生が働く

ことへの理解を得られ、応援してもらえるということになります。

今や社会人の先輩として、また自身の良き理解者となっている親、学生本人だけ

でなく親を意識した採用手法を検討しなければならないようです。

 

こと、高校新卒に関しても同じことが言えると思います。大卒者と違って、

求人票を提出した学校側から面接の応募があり、企業側が内定を決めれば、来春の

就職はほぼ確定となります。それだけに学校側も様々な手法で企業をリサーチし、

学生に紹介しています。学校では先生が、自宅では親が社会人の先輩として良き相談

相手となっているということになります。

 

かくにも、求人票が学生の目に留まらなければ意味がありません。ただ、記載事項が

網羅されている求人票ではなく、企業のいいところが伝わるよう、記載内容について

工夫が必要だと感じています。また、求人票だけでは、経営者の思いや業務内容は

伝わりづらい。企業合同説明会への積極的な参加や家族への職場説明会の実施、ホーム

ページのリニューアル、その他インターンシップの受け入れ、学校への訪問など、

新卒採用を行うには、積極的な企業努力が必要かと感じています。

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