上毛労務 薗田直子です。
ある地域の看板企業ともいえる会社の人事担当者と話す機会があった。
最近、30代前後の将来有望なデキル社員に、立て続けに人材紹介会社など外部から引き抜きの声がかかったとう。
もちろん、労働者個人の能力が評価されての部分が大きいのだが、『あの会社で〇〇の事業に携わっていた』ことが社員の転職にプラスに動くのだとすると、この会社の労働市場での人的信用度が高いということだ。
『エンプロイアビリティ』という言葉がある。
直訳すると「雇われうる能力」だ。「この会社・職場」限定ではなく『どの会社でも雇われうる能力』のことを指す。いわば、その人が市場の中でどれだけ雇われる「価値」があるかということだ。
いつまでも同じ業務や同じ環境にすがっていられないこの先、働く個々人は「エンプロイアビリティ」を意識することもきっと増えていくだろう。資格があるから、どこの会社にいたからだけではなく、どんな経験を積んで、どんな課題を乗り越えたかがエンプロイアビリティを高めるのだと思う。
働く人だけでなく、企業にとっても社員の「エンプロイアビリティ」を高めることが益々必要になってくると思う。市場価値の高い人材が育つ土壌が、企業の競争力、人材力の強さにつながっていく。
働く人が、他の会社でも充分に活躍でき移れる選択肢をもちながらも、敢えて「自社で働く」ことを選択する。この会社にいた方が自身の可能性やエンプロイアビリティが高まるから。そんな相乗効果のある土壌が一番いい。働く人も、会社もどちらも競争だ。