こんにちは、総務の藤井です。
今回は私のもう一つの仕事である資産保全についてのお話を数回にわたってしたいと思います。
先週末の米国株式市場で、【ロビンフッド】という若者に人気の証券会社によるネット取引サービスの行動が、利用者をはじめとする世論から批判の集中砲火を浴びました。
事の発端は【ロビンフッド】ユーザー達がSNSを利用してある銘柄の購入を呼びかけた事です。
指定された銘柄は、機関投資家と呼ばれる人たちが下落を見込んで空売りしていた株で、ユーザー達の買い注文により株価は急上昇し、空売りしていたヘッジファンドや機関投資家達は大損害を被ることになりました。
これだけならウォールストリートの巨人『機関投資家』に一矢報いた『個人投資家連合』といった株取引における一幕だけで済んだはずでしたが、問題はその後に発生した証券会社の行動です。
【ロビンフッド】をはじめとするネット取引中心の証券会社数社が、ユーザーの連携購入の対象となった特定の銘柄の株式購入に制限を掛けたのです。
この制限により対象銘柄の株価は急落しました。
この証券会社の行動が「個人投資家の株式購入を妨げる」「機関投資家の利益を優先した犯罪行為だ」と非難を浴びているわけです。
この一連の騒ぎは、SNSが浸透した現代だからこそ起こりえた現象です。
一般的に金融市場は『機関投資家』と『ヘッジファンド』と呼ばれる巨額なマネーを動かす人たちがコントロールしているといわれていました。
そんな一人勝ち状態のマネーゲームに、団結した個人投資家が『数の力』で対抗しようと動いたのです。
証券会社の横やりが入らなければ、このゲームは個人投資家の完全勝利で終わったかもしれません。
こうした動きは市場の公正化という点では歓迎すべきことですが、私にはどうも「ゲーム参加者の過剰なフィーバー」に疑念を感じずにはいられません。
金融市場、特に株式投資の本質は、その会社を応援する・その会社の経営に参加するための手段です。
企業の業績や経営状況に関係なく株価の局面を演出し売買による利ザヤを稼ぐというスタンスでの投資は、意図せずその企業を翻弄することにもなりかねません。
今回の【ロビンフッド】ユーザーの中には、ゲームのクエストに参加するような気持で動いた人も少なくないと思います。
若者が資産運用に関心を持ち積極的に動くことは大変喜ばしいことですが、ゲーム性だけに囚われず、きちんとした金融リテラシーを身に着けて金融市場という大海に漕ぎ出してほしいと願っています。