桜の樹の下には

こんにちは、総務の藤井です。

 

暖かい日が続いたおかげで、あっという間に桜の花が開きましたね。

前回のブログで「群馬の桜はもう少し先」などと書きましたが、この週末には前橋や伊勢崎では満開宣言を聞けそうです。

外構の花桃の開花具合は毎日チェックしていたのですが、まさかこんなに早く桜に追いつかれるとは思いませんでした。

 

毎年日本では梅に始まり木蓮、桃、桜と順を追って咲き誇り、春の迎える実感を目からも与えてくれますが、中でも桜の人気は断トツですね。

「桜の樹の下には屍体が埋まっている」は早逝した小説家・梶井基次郎の有名な短編の出だしですが、作品を読んだことがなくてもこのフレーズを聞いたことがある人は多いのではないでしょうか。

作品の内容は、満開の桜を前に、その美しさと生命力に逆に不安を感じた「俺」が、桜の樹の下には屍体が埋まっていて、その屍体の養分を吸っているが故にあのように生き生きと美しく咲くのだと想像することによって不安から解放されるというお話です。

実際に桜の樹の下に屍体を埋めるという風習は日本にはありませんし、専門家の方に伺うと「腐敗物はそう簡単に肥料にならない。そんなことしたら反って桜によくない」との見解でした。

桜の樹の下に屍体が埋まっているというのは、あくまで小説の主人公の妄想に過ぎないのです。

 

なのになぜ梶井基次郎のことを知らない人達の間でも、このフレーズが長く語り継がれるのでしょう。

そこには私たちが漠然と持っている「大自然や超現象などの神秘的な状況」に対しての畏怖に、理由を付けて納得させてくれるからなのでしょう。

人は納得できないものには懸念を抱きます。

例えば通常5,000円で売っている高級店のケーキが2,000円で販売されていれば、「これは偽物なんじゃないか」「賞味期限が過ぎているのでは」などと疑念を抱いて購入を躊躇してしまいます。

しかしそこで「実は製造時にミスがあった、味は正規品と変わらない格外品」だとか「誤発注による大量購入品を割引販売」などの理由があれば飛ぶように売れていきます。

「いい話には裏がある」

これが一番わかりやすい考えなのかもしれませんね。

 

梶井基次郎の話からずいぶんと俗っぽい話に流れてしまいましたが、日本では昔からずっと桜が愛されてきたのは疑いようがありません。

今年も残念ながら例年のようなお花見はまだできませんが、密集を避け、時間や場所を工夫してお花見を楽しみたいものですね。

 

まずは満開になった花桃と来訪者を和ませる玄関のしだれ桜をお楽しみください。