恩送りコーヒー

上毛労務 薗田直子です。

旅先でとあるカフェにいった。
このカフェの一角に「〇〇さんへ、コーヒー一杯ごちそうします」というハガキが一面に貼られていた。ハガキの○○部分には、「受験生へ」「子育てがんばっている人へ」「日ハムファンへ」「最近心が疲れている人へ」など、手書きのあて名が書かれていた。中に「群馬県出身者へ」というハガキがあったので、そのハガキでコーヒー一杯ごちそうになった。

遠い地で見知らぬ誰かがごちそうしてくれたコーヒー
ほんわり優しい気持ちになり、味わっていただく。
コーヒーを飲みながら、ハガキにお礼のメッセージを書く。表面にシールで目隠しされた住所と宛先が記入されているので、このメッセージはごちそうしてくれたご本人へ届く。

私は、見知らぬ誰かにごちそうするためハガキを購入する。
どんな人に宛てようか思いを巡らし、芸がないけど「群馬に住んでいたことがある人」にコーヒーを送ることにした。旅先で「群馬」の文字を見つけてうれしかったので、同じ気持ちになればいいな、思ったから。
自分が受けた恩を次の誰かに送っていく『恩送りコーヒー』というそうだ。

レジでハガキ代500円を払った。コーヒーを普通に飲んでも500円だから支払った金額は変わらない。でも、自分が飲むためのコーヒー代と、見知らぬ誰かに思いを込めて贈るコーヒー代は心の中の何かが違う。

「いつ、どんな人が飲んでくれるのかな」ふと思い出し、一杯のコーヒーの余韻に浸っている。