医療費について 4 医療費抑制策

藤井経営の藤井武です。

これまで増え続ける医療費に対し、給付と負担、に着眼した話をしてきました。
新薬開発やあらたな医療技術の革新により、より便益の高い医療提供が受けられる一方で、診療報酬や調剤報酬といった医療費は増加の一途を辿っており、歯止めがかからない状況です。

この増え続ける医療費対策として、以前から検討されていた事項が始まる様です。

2018年度から国保の運営主体が市町村から都道府県に移管されることに伴い、逼迫している国保財政支援のため1,700億円を配布することが決していたが、このうち約550億円分は2019年度以降、各都道府県の医療費削減の成果に応じて分配する、という方針の様です。

今後日本の人口は減少していくとともに、人口構成も変わります。そのため、これまで、と、これから、の医療需要には変化が生じます。それを数値で具体化したのが地域医療構想における2025年の医療機能別(高度急性期・急性期・回復期・慢性期)必要病床数です。ちなみに我が群馬県は、高度急性期+620床、急性期+4,906床、回復期-4,040床、慢性期+1,134床、合計+2,620床という推計値となっており、全国的な傾向ではありますが、急性期病床機能が過剰で慢性期機能が不足しており、合計では病床が過剰となる、という予測になっています。
全国都道府県の現状の病床構成をみても、非常にユニークな傾向が表れています。(西日本の病床過剰傾向等)
発表当時、大きな反響があったことを思い出します。
当然、医療費においても非常に大きな差が見られます。1人当たり医療費が2倍近い都道府県もあります。
確かに、各地域における慣習や生活習慣等には差があり、そのため各疾病の受療率(病気の発症割合)には差があるのはわかりますが、逆を返せば受療率が高い疾病も特定できる、と言うことにもなります。

話を戻しますが、上記のような各都道府県の医療費のばらつき是正のためにも、国は各都道府県の医療費削減の成果に応じてインセンティブを付与することにしました。これにより、各都道府県の疾病予防への取組が加速しますし、医療提供の在り方も、大きく変わっていくと思います。
各都道府県は地域医療構想等を作成し実行することで、自分たちの今後の医療需要とそれに対応した適切な医療提供体制構築を実現していかなくてはなりません。国から都道府県へ、今後さらなる権限の委譲が進むとともに責任も負わなければならなくなるでしょう。

現在は全国一律1点10円の診療報酬も今後は各都道府県により異なる場合がある、ことも想定しておく必要もあると思います。