おはようございます、海老澤です。
城に建っている櫓には、いくつかのタイプがあります。江戸城巽櫓のようなタイプを、隅櫓(すみやぐら)と呼びます。石垣の隅に建っているから隅櫓・・・。次に、石垣の縁に建っている、長屋のような形の櫓を多門櫓(たもんやぐら)と呼びます。こちらは、名前の由来はよくわかりません。あと、櫓どうしをつなぐように建てられた、廊下タイプのものを渡櫓(わたりやぐら)と呼びます。さて、櫓は、矢倉・矢蔵と書くこともあるので、もともと武器庫だったと思っている人が多いのですが、戦国時代の城では、普段は見張り場として使うので、何か起きたときのために、即応用の弓矢を備えておく必要があります。そこで、「やぐら=弓矢を置いておく場所」という意味から、矢倉の字が当てられるようになったそうです。ところが、戦国時代の後半になって鉄砲がさかんに使われるようになると、盆踊りタイプの井楼櫓では、敵の攻撃を防ぎきれなくなってきました。分厚い土壁と瓦葺きの屋根を備えた、新しいタイプの櫓が登場してきます。耐弾性・耐火性にすぐれた、重装甲の戦闘用建物です。櫓は、基本構造は天守と同じ。狭間や石落などの戦闘用装備がついているのも、同じです。まさに天守と櫓は兄弟なのです!城の防禦力を高めるために、城内の要所要所に天守のミニ版を建てよう、ということになって、隅櫓が普及したようです。天守がラスボスなら、ステージごとのボスキャラが隅櫓、といったところでしょうか。城を歩きながら、櫓一棟一棟の個性を愛でるのも、また一興ですよ。