経験から学ぶ

上毛労務 薗田です。

一斉講義を受講し半年後にあらすじまで覚えている人は、わずか2%、キーワードだけ思い出せる人は29%という研究結果があります。講義の学びに対し、『経験』からの学びは7倍にもなるそうです。

その言葉通り、今までの日本のスタンダートな人材育成は「経験させる」ことで成り立ってきました。特に未熟なうちは、業務量をこなすことでその職種ならではのスキルを身に着け、自分のモノにしたものです。

この先、長時間労働の抑制や業務の変化によって「経験の量」は以前より減ってくる可能性があります。イレギュラーに弱い現場力の低下は、既に多くの企業で問題になっています。

同じ経験をしても、一つの経験からスポンジの如く吸収し成長する人と、経験がすり抜けてしまう人がいます。この違いは、経験をした後にその経験を「振り返える」こと、経験から「自分なりの考えや教訓を導く」こと、この2点をするか否かで大きな差が生まれるそうです。

ヤフーでは『1on1』といって、社長以下全員が自分の部下と週1回30分のマンツーマンミーティングを開催し、業務についての「振り返り」の機会を設けています。

有名なトヨタ『カイゼン活動』は、ムダはないか、よりよい方法はないか日々「振り返り」、仕事の仕組みや仕方を「自分なりに考える」ことに社員総出で取り組んでいます。ともに「振り返り」「考える」機会を定期的に提供し、経験を成長につなげる仕組みを会社でつくっているのです。

この先、やみくもな長時間労働の抑制だけでは「生産性の向上」は決して解決できません。むしろ質の低下につながる可能性もあります。生産性の向上は、業務改善や仕事の成果を考える為に業務の意味を自分なりに考え理解し、業務の進め方や組み替えるスキルを備えた上でこそ取り組めることです。これらの取り組みには、社員の成長が欠かせないのです。

いかに「経験」を成長へつなげるか。「限られた時間」で「効果を出す」社員の育成。働き方改革をすすめる上で、大きな課題の一つとなりそうです。