本屋の立ち位置

上毛労務 薗田直子です。

以前にくらべ本屋に行く回数がめっきり少なくなった。
読みたい本はご多分に漏れずネットで注文している。本屋に行く手間も、本を探す手間もなく、翌日には手元に届く。当たり前になった便利さだ。

本屋へ足を運んだときは、明確に欲しい本を買い求めるのではなく、店内をぶらぶらして目に留まった本を購入することが圧倒的に多い。
知らぬうちに私の中で、ネットは目的のある購入、店舗は偶然の出会いの購入・・といった位置づけになっていた。

北海道の田舎町で『一万円選書』というサービスをおこなっている小さな書店がある。
購入者から聞き取った事前アンケートから、店主がその人向けに一万円分の書籍をセレクトして発送してくれるサービスだ。
年齢、職業、最近心に残った出来事、よく読む雑誌、心に残った本などオーソドックスな質問から、「あなたにとって幸せとはなんですか?」「人生の中で、何歳の頃の自分が好きですか?」などちょっと考えさせられる質問まである。

どんな本が選ばれるのだろう、私も選んでもらいたものだ。
ふだんの本屋での購入が自分からの出会いなら、これは自分でも気づかない他者が教えてくれた出会いだ。
現在、待ち人数500名。それも年に数回の抽選で当選しなければ権利を手にできない。

「何を売るか」ではなく、『何を価値とするのか』
こんなところにもヒントがある。